とある営業マンの裏話 -7ページ目

モデルルーム

モデルルームは実物と違う。とよく言われますが、そんなことはありません。
部屋の広さから間取り、寸法狂うことなく作られています。
ただ違う点があるとすれば、インテリアだけです。

まぁまったく同じにしようとすると、500万円くらいはかかるし、あんなに生活感のない暮らしをすることは無理だけどね。

ただし、これから買おうと思っている人は気をつけなければいけない点があります。

一つは、自分の買うタイプとモデルルームが違う場合はモデルルームの想像は捨てなければいけません。

二つ目は、階数によって下がり天井の高さが違う場合があります。下がり天井というのは、配線を通すために天井に段差をつけて、通り道を作ったり、単純に柱がでているだけのものがあったりします。

これは大体の不動産企業が、図面にサイズを記載しているので、図面集はきっちり読み込みましょう。

大幅に違うときは載せない企業もあるので、気をつけた方がいいですよ。

抽選について

マンションを買うときに抽選になることが良くあると思う。
あれは公平に行われていると思いますか?

すべてがそうとは言い切れませんが、結構裏で操作しているケースがあります。
不動産企業側としては、せっかく買いたいといってくれているお客さんをみすみす逃すわけにはいきません。どうせならまんべんなくすべての部屋にお客さんを当て込みたいのです。一つの住戸に集中してしまって他の部屋が売れないのはもったいないのです。

じゃあどう操作するのか?

お客さんとの商談で、まだまだ予算があがっても大丈夫な人をあらかじめ認識しておきます。予算があがるとローンが通らない人もいます。抽選を非公開でやる場合は、予算があがると他の部屋は買えない人を優先的にあたりにします。
前者は多少予算があがっても買える人なので、あえてその部屋ははずして、あとで同じタイプのちょっと上の階の部屋を勧めます。最初は絶対予算を上げたくないといっていた人でも、抽選で外れたというと多少予算が上がっても欲しくなるのが人間の心理なので、大体の人がこのパターンで決まります。しかもその部屋をキャンセル住戸とうたうケースが多いですね。

あぁ、最近疲れ気味で文章がへんです。
次回からはちょっと形式を変えていきたいと思います。

買った方がいい?借りていた方がいい?

掲題でけっこう悩んでいる人は多いのではないでしょうか?

確かに家賃は掛け捨てだけど、ローンは資産への貯蓄だと考えられる。
しかも現在は金利も底値なので、月々の支払いも楽だ。

しかし、落とし穴はたくさんある。

まずローン以外でけっこうお金がかかるのをみんなあまり知らないし、営業マンもさらりと流す人が多い。

なにがかかるかというと、まずは固定資産税だ。物件のスペックとその土地の価値にもよるが、まぁ平均して10~15万くらいだろう。(新築は免税措置あり)
あとは、団体信用生命保険という名義人が亡くなった際にローンがちゃらになる保険料も払わなければいけない。(住宅金融公庫は必須)大体7万弱である。(ローン額に比例)

こういった余計な出費もあるし、買う時にいろいろと諸経費がかかる。(大体購入価格の5%くらい。3000万円なら150万くらいかかる)

ローン減税がお得だから今が買い時ですよ。といった安っぽい営業をしている会社もあるが、4人家族で税金をけっこう免除されている方に関しては、ローン減税ではほとんど戻ってこないことを理解しなければならない。減税というのは支払うべき税金が免除されるわけですから、他の分野で免除されてると、いくらローンを組んでも自分が払っている以上の税金は当然免除されない。まぁそれでも多戻ってきますがね。

じゃあ賃貸の方がいいのか?というとそうともいえない。
やっぱり家賃は掛け捨てだし、将来の投資になっていない。そのまま年老いて定年を迎えると、勤務先がないので、賃貸も借りられなくなるし、いい家にすめなくなる可能性がある。

なにより設備も乏しいので、快適性とは縁遠い。分譲と同じ暮らしをしようと思うと、あほみたいな金額の家賃を取られるし。

じゃあどっちやねん!!

となりますが、私が個人的に思うことは、低金利の時に現金一括で買うのがベストででしょう。なぜ低金利かというと、企業がそのプロジェクトのための資金を銀行から調達する金利も安いので、物件自体の価格に影響するからである。

ま、結局本当の買い時は自分がいい家に住みたいと思ったときなんですけどね。


営業力とは。。。

私がいまだに悩み続けていること。
それは、『営業力』とはなんぞやということである。

ちなみに自分は一般客相手のいわゆるBtoCも企業相手のBtoBも両方経験している。
その両方を経験して言えることは、この二つの営業力はそれぞれ違うと思う。

BtoCの場合の営業力はまさに提案力である。個人が買う場合は、自分の金を払って購入する。ここが一番違うのだが、BtoBの場合はなんだかんだ言って会社の金である。それで自分が直接的に困る姿は正直見えにくい。そういった意味でBtoCの場合、買う側の心理を深くつき、相手の本音を探り出し、不安な点をすべて解消しないと買ってもらえないのだ。

BtoBの場合の営業力は継続させる力ではないか。結局、予算がある企業にタイミングよく飛び込めば、いとも簡単に買ってもらえる。実際テレアポをやっても、個人向けの時は100件電話して1件アポが取れればいいほうだったが、企業相手の場合は、10件に3件以上はアポが取れてしまう。ようは新規で獲得することは、意外と簡単で、それを継続発注いただくことが難しいのだ。
売って終わりじゃないし、他社もどんどん攻め込むし。。コミュニケーション能力が本当に必要だなと感じる。
実際私も現在は既存顧客の継続発注に力を注ぎ込み、大好きな新規開拓に手が回らない状態である。

営業マンとして楽しいのはやっぱり個人向けだと思う。

同じ商品をよーいドンで売るので、力の差が歴然と見えるし。

値引きのうまい営業マン

値引きのうまい営業マンと聞くと、値引きばっかりしてて会社にとってはあまりよろしくない営業マンみたいに感じるが、ここでいううまいはそういうことではない。

値引きを使うタイミングが絶妙なのである。

ちなみに通常新築マンションの場合、値引きはほとんどしない。するとしたら、1年経っても売れ残ってしまい、このまま残り続けると危険だと判断した場合に値引きを開始し、完売まで持っていこうとする。

その際の金額は大体5%~15%くらいで、15%を超えることはまずないでしょう。(もし15%引き以上で買ってる人がいたら、売主の会社を心配した方がいいでしょう)

この値引き開始のタイミングは上役が決める。
下手な営業マンは、値引き開始のリリースが出た瞬間に、すぐ値引きしますから買ってください攻撃を出す。

売れてないってばればれやんけ。

うまい人は、過去接客して、予算が足りなくて買えなかった人に対して、再度アプローチをする。そのときに、モデルルームへ呼ぶのに、値引きしますからとは言わない。値引きを使うのは本当に最後の最後だ。

まぁ呼ぶときはキャンセルが出ましたから見に来てください。といって呼ぶのだが、その際に部屋は教えない。(予算的に買える部屋じゃないからね)

で、モデルルームに再来場して、商談をし、やっぱり気に入って買いたいが予算が無いと言う話しになる。

そこで値引きの話し。

買えなかった物件が買えるようになる瞬間である。

そうなると、もう主導権はこっちのものである。
キャンセル住戸だから他にも定価で欲しいといっている客がいると話し、ただし今日決断してくれるんだったら値引きして部屋を押さえますよという流れだ。

お客さんもこれまでにないチャンスをゲットしたと喜び、お互いにハッピーになる。

こういった感じだ。
まぁ物件をそこまで気に入らせるのが一番大変なのだが。。。
気に入らない物件は値引きされても買わないしね。


競合

どの業界にも言えることだが、競合との戦いは永遠に終わらない。

マンション販売でも競合との戦いが非常に熾烈である。
同じエリアに最低でも3物件、多いときで15物件くらい売り出しされている。
来場するお客様は同じエリアに建築している物件を当然ながら比較していく。

競合を調べるときにどうするか?

客のふりをしてモデルルームにいき、営業マンの商談を受けるのである。
そうすると、相手の営業マンは、自分の物件のセールスポイントをことこまかく話すし、競合の物件との比較もしてくる。
その中に自分の現在担当している物件もあったりして、他社は自分とことこうやって比較しているんだなというのがわかる。

それを元に自分のセールストークを構築していけばよい。

注意すべき点は相手に同業者だとばれないように接しなければいけない。

営業マンは何百件というお客様と接触しているので、あやしければ同業者だとすぐ見抜く。平日に男性がスーツで一人で来で、営業帰りに立ち寄ったというような場合はほぼ同業者である。

私は大体バイトの女の子と一緒に夫婦という設定で行くようにしていた。
嘘がばれないようにこと細かく設定したりなんかして。。。

いろいろと大変でした。。。

飛び込み営業について

新築マンションの飛び込み営業はやみくもに飛び込んでいるわけではない。
チラシまきをする際に、よさそうな賃貸物件をチェックしておき、後で飛び込む。

その際に基準となるのが、今販売しているマンションを購入できるくらいの家賃を払っているかどうかだ。

例えば、高田馬場で物件を販売する際に、その周辺の家賃相場はすべて把握しておく。外から賃貸物件を見ると、大体の広さと間取りは外からでも分かる。
広さと間取りから大体の家賃はわかる。2DKの45㎡だったら大体17万くらいかなと。

家賃で月々17万円くらい払っている人ならば、自分の販売しているマンションの最多価格帯が4000万くらいなら、35年返済で、月々の支払いが16万円+管理費等ということになるので、十分に購入ができるレベルにあると判断できる。

そういうところからバンバン飛び込んで、家賃とローンの違いを分かりやすく丁寧に話してあげれば、興味を持ってモデルルームにご足労いただけるというシナリオだ。

電話営業と違って、飛び込み営業の場合は、その人がどういう場所に住んでいるのかがわかるので、説明がしやすい。
ネックは怪しいので、ドアを開けて話しを聞いてくれる人が少ないということだ。

基本的に飛び込み営業はモデルルームに連れてくるだけのいわゆる広告宣伝にすぎないことをうまく住人にも理解してもらわなければならない。

これも本当に効率が悪い仕事ですが、やっぱり1ヶ月に何本か契約が出てしまうから不思議である。マンパワーというのは恐ろしいですな。


ゼロ社員

営業マンの一日は以下のような動きになります。(平日編)

 9:30~ 本社へ出社
10:00~ 営業全体ミーティング
10:30~ 課ごとのミーティング
12:00~ モデルルーム到着
13:00~ ポスティング(いわゆるチラシまき)
15:00~ 飛び込み営業
17:00~ 電話営業
20:00~ ミーティング
21:00~ 帰社

こんな感じですね。
今僕が勤めてる会社は終電まで働くような状況なので、21:00に帰れると速いと感じますが、当時は21:00に終了がすごく遅く感じていました。
理由は、20:00からのミーティングは大体上司の説教タイムなので、なが~く感じられるわけですね。

ちなみにそのとき標的にされるのが、いわゆるゼロ社員という人間です。
ゼロ社員というのは、当月に一本も契約を出していない社員を指します。
この人間は、上司からは人格否定されるくらい詰めに詰められます。

「お前は日本経済界においてゴミでしかねぇんだよ!わかるか?ゴミ」
「会社はお前の存在が迷惑以外のなにものでもねぇよ。会社に給料を払えよ。」
「お前は馬鹿なんだから、人の数倍努力してやって同じ土俵に立てるんだよ」

などなど、もっとひどい言葉もたくさんありました。
僕は3ヶ月の新卒研修が終わって、それ以降ゼロということがなかったので、こういう説教を受けたことはないのですが、人のを聞いているだけでも相当つらいです。
また、ゼロ社員は本社でも成績表に大きくゼロと赤字で書かれ、営業トップよりも目立つようになっているため精神的には相当きついと思います。
月末に近づくと、「ゼロ集合!」と朝から部長に呼び出されまたまた説教です。

不動産業界では、売っていない人間は会社での居心地が悪くなるように仕向ける傾向があるみたいですね。

マンション販売の電話営業

だれもが経験したことがあると思います。

「お近くでマンションの販売をはじめました!」

といったような電話で営業を受けたことが。

NTTに番号を登録していないのに、なんで番号が解ったんだろう?と不思議に思いませんか?
どこかで名簿が流出しているのでは?とか。
僕が入社する前は、日本橋あたりで実際に名簿が1件10円とかで売られていたそうです。
高額所得者名簿とか、有名大学名簿とか。
でもこういうご時世ですから今はそういう名簿の取得は会社として危ないので買ってないはずです。

じゃあ今はどうしてるか?

信じられないかもしれませんが、市外局番の後の0001からかけてるんです。
つまり、自分の番号が2456とかだと、2456番目に掛けられてるわけですね。

1日300件くらいは電話をするので、2456番目なんてあっという間です。会社だと連番をつかってたりするので、何度も電話がかかってしまいよく怒られました。

こんな非効率なことを今でも平気でやっています。
しかし、不思議なことにここから契約がけっこうでたりするので、電話営業は終わらないのです。

月に1本でも4000万の物件が決まれば、それが非効率ではなくなるのです。
もっと効率的な方法はまだまだ存在するとは思うのですが。。。


広告代理店の営業マン

広告代理店とは数社つきあったが、レベルの差が歴然としていておもしろかった。

大抵の広告代理店は、何の根拠も無く提案してくることが多かった。
とりあえずチラシをまくだけまきましょう。とか、何万枚まけば多分このパーセンテージでモデルルームに来場しますとか。

はっきり言ってそのパーセンテージには何の根拠もない。
過去の実績などは、物件のスペックによっても左右されるし、チラシを見た人のタイミングにもよる。

そういうデータがあてにならないため、高予算を生かしてとりあえずばらまくと言った手法に悲しくもなってしまう。

そういった提案しかしてこないためか、私にとって広告代理店の営業はすごくレベルの低いものなのだなと思い込んでいた。

しかし、3年目にしてすごい優秀な営業マンと出会うことができた。

その営業マンが提案してきた内容は、更地の建設予定地で気球を飛ばすというもの。お客様にその気球に乗ってもらって、実際のマンションの高さから眺望を見てもらいましょうということでした。そして、そのキャンペーンをチラシに盛り込めば、気球に乗りたいということでの来場者も増えるでしょうとのこと。

気球に乗りたいがために来場したお客様は、購入確度が低いため、来場者が増えても無駄だと思うでしょうが、これは決して無駄ではありません。

なぜかというと、誰もが売れてる物件を購入したいと潜在的に思っており、マンションを売る営業マンは、その物件がいかに人気があるかをいろんな確度からお話しをする。

但し、閑古鳥が鳴くような数のお客様しかモデルルームにいなくて、そういう話しをするよりも、たくさんの人がいる中でそういう話しをした方が説得力が増す。

そういった意味でも来場者が増えることはプラスなのだ。
まぁ買う客買わない客の選別をうまくつけないと大変なことになるが。

実際この気球の提案は実践に移され、その週はモデルルームに100組のお客様が来場し、10組近くのお客様が契約に至ったのである。

ちなみにその営業マンはほかにもいろいろな提案をしてきて、本当に客の利益になることを真剣に考えてくれる営業マンだった。

自分も営業マンとして、こういう実のある提案をいろいろ受けられた経験は本当に宝物になった。